山形県南陽市、板垣歯科クリニック。金属アレルギー、できるだけ体にやさしい治療を

金属は重金属と軽金属に分類されますが、歯科治療には重金属が使用されます。
詰めたり、かぶせたり、土台や入れ歯のバネを作る時に使う金属は、歯科医により異なります。一見同じように見える金属でも、健康保険制度の中でいくつかの種類があるのです。
一番多く使われている金属は、１２％金の入っている「１２％金属パラジウム合金」。
しかし、口腔内で科学的に安定、生体への影響が少ない貴金属ではなく、米国やヨーロッパでは積極的に使用されていません。
口の中は食べ物や唾液の影響で酸性やアルカリ性に変化します。その中に重金属が装着されると、イオン分解により溶け出し、体内に徐々に蓄積されます。手のひらに水泡ができたり、つめが変化する 掌蹠膿疱症　や、アトピー性皮膚炎は歯科用金属が原因である場合も少なくありません。

しかし、歯科用金属を使用することによる深刻な中毒の発症率は非常に低く、通常は心配することはありません。

ただ、不要な重金属は老化を速めたり、がんの原因ともなる活性酸素を代表とするフリーラジカル（遊離活性基）の発生を助長する面があります。体内の重金属を排出することを体内浄化（キレーション）と呼びますが、その方法はまず口腔内にある重金属をできる限り除去し、白金などの貴金属もしくは金属を使用しない材料（セラミックスなど）への入れ替えが勧められます。

二十六歳の女性は、原因不明のアトピー性皮膚炎で、あらゆる治療を経験。一時的に症状は軽くなっても、根本的な改善はできませんでした。
金属アクセサリーも身につけられず、夏でも肌を出す洋服が着られないなど精神的な悩みも多く抱えていました。皮膚科で歯科用の金属アレルギーテストを受けてもらった結果、銀、パラジウム、ニッケル反応が出て、口の中を検査したところ、五ヶ所で重金属による治療がされていました。
これを撤去し、グラスファイバー補強形の高分子素材による再治療に加え、食生活と呼吸法の指導で、八ヵ月後にはアトピー性皮膚炎が完治できました。
人体に本来備わっている重金属の排出機能が低下している方や、ストレス度が高い人には口の中の重金属の使用を健康のため、もう一度考え直す必要があるかもしれません。