床矯正(しょうきょうせい)・矯正治療について
矯正治療を始めました。当院の矯正は体に優しく費用が安い矯正です。
正治療で歯は絶対に抜かなければいけないのですか?
広辞林で「矯正」とは欠点を直し正しくする事と書いてあります。「矯正術」の項目では機械的作用を応用して、人体骨関節の運動障害または変形を手術せず矯正せず矯正する術と書かれています。では歯科の矯正だけが歯を抜く手術をするのでしょうか?矯正の専門医も抜歯の治療を決して良しとしているわけではありません。残念ながら、抜歯による矯正治療が主となっているのも事実です。
1つの治療方法が絶対ということはありません。いろいろな治療方法があります。
今回は歯を抜かない矯正治療方法をご紹介します。 ここで紹介する床矯正(しょうきょうせい)装置は1935年ウィーンの歯科医師シュワルツ(Schwarz)が床矯正の基礎を樹立しました。 |
可撤式ですから、必要に応じて装置は自分ではずせます。床矯正によって、歯を動かしたり、顎を拡大するする方法です。
当時の矯正器具は金を使った高価なものでした。第一次世界大戦での経済、ナチス・ドイツの歯科用貴金属の使用禁止のために貴金属を使用しない床矯正が普及しました。1960年代まではヨーロッパでは床矯正のみの治療方法でした。また、ヨーロッパは広く社会福祉が普及したために、専門医ではなく、開業医が矯正治療を処置していました。
一方、アメリカでは歯の抜歯をしてスペースを作り、教条的治療、厳密な治療が進歩したため、矯正専門医のみが治療をしてきました。日本ではアメリカの矯正治療が主流のため、床矯正はまだ普及していません。 当医院では、鈴木設矢先生(東京都開業)の主宰する床矯正研究会の方法を取り入れました。床矯正の欠点を補うためにワイヤー矯正を補助的に使用することもあります。
また床やワイヤーだけに頼るのではなく、正しい咀嚼や嚥下機能の回復に努め、顔の正しい発育のための予防的な矯正を目指しています。
10才の子供はやがて、20才の青年、50才の壮年、80才の老人になります。10才のときの治療は10才のための治療ではありません。より良い、青年、壮年、老人になるための治療でなくてはなりません。 |
そして、大切なのは、子供の歯は大人の歯の縮小ではありません。子供は正しく大人に発育すべきです。
歯は、一回削ったり、抜いたりしたら、元には戻れません。人間には無駄な組織はありません。歯は人間が機能と発育をするための大事な構成要因です。その組織を失う事は人としての一生を考えるとその損失は図り知りません。
きれいな歯並びをうるための失う機能と発育を考えます。何かをすれば、プラスとマイナスがともに生じます。医療はプラスを基準にするよりも、できるだけマイナスを少なくしてプラスを得る事を考えるべきです。
1 | 歯科治療の多くは治療という名目で歯を傷つけています。 傷つけられた歯・抜かれた歯はもとには戻れません。そして、機能の低下が起こります。 できるだけ歯を保存する姿勢が大切と考えます。 これに基づいて治療をしますから、抜歯による治療は原則考えません。 |
2 | 床矯正の治療方針は保存的矯正治療を基本としています。 歯と顎のアンバランスの問題を、床矯正装置で未発育な顎を適切に拡大し、歯を移動し解決します。 |
3 | 床装置の可動条件、装着条件は患者さんの生活環境、社会環境に合わせて治療をします。装置を可動しなかったり、装着しなかったりすると、治療はいつまでも終了しません。 |
4 | 矯正治療を必要とする患者さんは、顔を構成している上顎骨、下顎骨が未発育です。 つまり、歯並びの問題は歯のみならず、顔の萎縮に大きく関与しています。 「よい歯並び」は「よい顔貌」につながる問題です。 よい顔に患者さんを育成する事が、歯科医師の仕事と考えて治療に当たっています。 |
5 | 矯正治療は現在、保険治療の対象ではありません。 矯正治療の費用は一般的に高額です。 金額によっては治療の受けられる家庭と、治療したくてもできない家庭ができています。医療に携わるものとして、大変に憂いを感じます。 私どもの使命は多くの患者さんの噛み合わせを直す事ですから、できるだけ金銭的負担を少なくしたいと考えています。 |
床矯正は早いうちから治療を始めることが重要です。5歳以上であれば、なるべく早い治療が望ましいです。ですから、保護者の方がお子さんの歯並びや口元の状態が「おかしいな」と感じられたとき、それが治療の始めどきだと考えています。 様々な不正咬合がありますが、床矯正で治すことができます。 |
とんでもないところから歯が生えてきてしまったり、永久歯の生えるスペースがなくなってしまったりと、歯が通常生えるべきところに生えてこない状態。
●叢生(そうせい)
叢生は一般的に「乱ぐい歯」「八重歯」と呼ばれている。患者に最も多くみられるのがこの症状。あごが小さいために歯がきれいに並びきれず、歯が重なって生えている状態。早期に治療を開始することが望ましい。
通常は上の歯が下の歯に被っているが、この状態が逆になり、上下の前歯、奥歯の1、2本が交差しているかみ合わせのこと。
●反対咬合(受け口)
通常は上の歯が下の歯に被っているが、この状態が逆になり、上下の歯が3本以上反対になっているかみ合わせのこと。
多くのケースが悪習慣から起こるといわれている。かむ筋肉が正しい動きをしておらず、あごの関節が後ろに後退している。
●過蓋(かがい)咬合
かみ合わせが深く、前から見ると下あごの前歯が見えない状態。奥歯は臼歯といい、「うす」のように横に下あごを動かす必要があるのだが、前歯のかみ合わせが深いため下あごを横に動かせず、よくかめない。
前歯が飛び出している状態。
●正中離開(せいちゅうりかい=空きっ歯)
真ん中の前歯の2本の間が開いている状態。早期に発見しないと、隣の歯が生えるスペースがなくなり、歯並びがより不正になる。
上下の歯をかみ合わせても一部がかんでいない状態。
費用は症例によりますが、早期であれば上下で10万程度です。
また、当院ではできるだけ患者さんの金銭的負担を少なくしたいと考えています。
詳しくはお問い合せ下さい。
床矯正に用いられているのは入れ歯の一種です。床矯正装置にはねじが組み込まれていて、プラスチックでできた床が動いて歯を前に押し出したり、後ろに下げたりする仕組みになっています。 |
まず、1週間で90度(0.2mm)の拡大を基本目標にします。45度ずつの2回転、ケースによっては30度ずつの3回転を指示しています。患者さんに痛みがないようであれば、1日おき、毎日とねじを動かす間隔を短くしていくこともあります。
拡大のスピードは最終的には患者さんの状態に合わせて行います。 さらにこの装置はいつでも取り外しができる「可撤(かてつ)式床矯正装置」です。
つまり、患者さんは好きなときに口の中の装置を外すことができるのです。
装置をつけているとやはり発音がしにくくなってしまいますし、食事も大変です。小さな子どもにとってはなおさらですよね。ですから、もちろん普段はつけたままでいてもらいますが、音楽の時間や就職面接、電話の対応時など、どうしても装置が邪魔になってしまうときは外してしまってかまいません。 ずっとつけているにこしたことはありません。ですが、学業や仕事に支障があってはいけないと考えています。
QOL(生活の質)を保ちつつ、いかに効果をもたらせるか、床矯正ではそこを大切に考えています。 また、食事と歯みがきの際に装置が取り外しできることで、装置に食べかすがたまりにくく、歯もすみずみまで磨いていただけますので、口腔内の衛生が保てます。 食事をするときに働くさまざまな筋肉をうまく使えるようにするための5つのトレーニング法をご紹介します。
1.舌の筋肉
舌で唇の右の角を押します。次は左。上唇をなめて、最後はアッカンベーの要領で舌を前に出します。
これを10回繰り返します。
食べ物が前歯からこぼれないよう、唇の力をつける運動。 力強く唇を閉じてから、パ・ピ・プ・ペ・ポと10回繰り返します。
3.頬(ほお)の筋肉
頬の筋肉が弱いと、かむことや食べるスピードが遅くなります。
頬を大きくふくらませ、力強く引っ込める動作を10回行います。
口呼吸などの悪習慣で、いつも口が開いていると歯列不正が起こりやすいため、口を閉じることは大きな治療の一つです。クリップを曲げて唇でくわえたり、お風呂は3分間口まで入るなど、口を閉じた状態を習慣づけることが大切です。
5.チューブを使った咀嚼トレーニング
かむ力の増強やかむバランスを鍛えるトレーニング。
水槽に使用するエアーチューブを、犬歯の外側の歯(第一小臼歯)に当ててかみしめて、かむ力を増加させます。
人間も例外ではありません。
例えば日本人と西洋人ではご存知の通り体格がだいぶ違います。胴が長い日本人の体型は、その食事内容に密接に関わっているのです。西洋人は消化の良い動物系の食べ物が、それに対して日本人は消化しにくい植物系の食べ物が中心だったことから、腸が1メートルほど長くなっているのです。
これは歯並びとあごの関係にもいえることです。
繊維質の食べ物を時間をかけて多くかむ人は、下あごの角ばってえらが張る型になります。つまり、横顔をみると下あごの角がしっかりと「L」の型をしているのです。
しかし、よくかまない、もしくはかめないという人の場合あごの骨が弱り、下あごの角が浅くなってしまいます。いわゆる「し」の字のようなあごの形になってしまうのです。
また、細くなってしまったり、尖形(せんけい)になってしまったりしたあごには当然、歯は並びきれません。特に最近は、軟らかいものが多くなっていますので注意してほしいですね。 影響します。ですから、食育が非常に大切です。小さいときからかむ力とよくかむ習慣をきちんとつけること、それがいい顔と美しい歯並びを作り出すのです。保護者の方に、かんで食べることの重要性を知ってほしいですね。
この歯は、10歳半〜11歳頃生えてきます。つまり、抜く歯が生えるのを待っているのです。
しかし、人間の器官に無駄はありません。歯を抜くことで、全身のバランスを崩す危険も怖いですし、特に、子どもの場合は、かむ刺激が減少することにより、顔の改善が難しくなってしまいます。
10歳のときの治療は10歳である今だけの治療ではなく、よりよい80歳を迎えるために何をするかであると考えています。子どもの将来までを考えたときに、今何をするべきなのか、どういった治療が適しているのか、保護者の方にきちんと選択していただきたいと思います。
近年、歯が悪くならないようにケアする予防歯科が注目を集めています。床矯正は予防歯科としての役割も果たしているといえます。見た目の美しさはもちろん、これからはよくかめる、虫歯や歯周病も予防しやすいなど機能を重視した矯正治療が必要です。私たちは歯の「保存」という立場に立った「床矯正治療」を通して、未来の子どもたちの健康に貢献できればと思っています。
「歯を抜かないことと、かむ機能の回復を重視した矯正法」として、今後も多くの患者さんが笑顔になるお手伝いをしたいと私たちは望んでいます。
■上顎の叢生の症例 萎縮した顎は簡単に拡大できます。歯を抜く必要はありません。 患者さんに合わせて痛くないように、上顎を拡大しましょう。 2つの装置で治療は終了しました。犬歯が生えた後では治療が複雑になり装置が3つ、4つと多くなります。 |
■下顎の叢生の症例 下顎が小さいので、前歯が曲がって生えたのです。 歯が並ぶ大きさに下顎を側方に拡大しました。歯の並ぶスペースが確保できたので、前歯の後からスプリングで歯の軸を修正しました。 歯を抜く必要はありません。 |